孤読な日々

ライトノベルを愛するブログ

【感想】りゅうおうのおしごと!14

 

 それはきっと、本気になったから。

 

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りゅうおうのおしごと!14』

 著:白鳥史郎 イラスト:しらび

 

の感想です。

 一か月以上ぶりの更新になってしまいました……。

  そして、我がことながら語り口が安定しないブログですが悪しからず。

 

 ではでは、以後ネタバレありなのでご注意を。

 

 

 

 

 

序盤から泣かされかけたのだが?という話

 序盤から泣かされるとは思っていなかった。開始早々20ページですよ、起承転結に区切れるわけじゃないけれど、普通まだ起でしょう?

 

 はいここで突然、質問です。あなたの思う、一般文芸にもライト文芸にもなく、ライトノベルという媒体にある最大のメリットはなんですか?

 小説全般が好きでたまにラノベを読むという人も、逆にラノベしか読まないという人も、意識していなくとも何かしらラノベである理由があるのではないでしょうか。

 例えばアニメ調のイラストの表紙があるだとか(ライト文芸にはあるが)、例えば口絵や挿絵がついているだとか、文体が比較的平易で読みやすいだとか。

 個人的にはこれらに加え、基本的にシリーズものであることが最大の強みだと思っています。

 

 単巻の作品だと、はじめに登場人物や世界観設定を読者に理解してもらわなければなりません。そして、例えば中盤で人物の過去を掘り下げて、ラストそれを乗り越えるといった流れで感動できます。

 

 しかし、ラノベでは、具体例としてこの『りゅうおうのおしごと!』では。

 14巻を読み始めるとき読者は、空銀子のことを知っています。4歳から内弟子として努力してきたことを知っています。将棋星人を見上げ続けてきたことを知っています。地獄の三段リーグをなんとか勝ち上がったことを知っています。

 だからこそ、開幕僅か20ページの釈迦堂先生のスピーチが感動的なのです。

 鏡洲飛馬についてもそうです。奨励会での、三段リーグでの彼の死闘を知っているからこそ、こんなにも胸に刺さるのです。

 雛鶴あいについてもそうです。どれだけ将棋が好きで、どれだけ八一を好きか知っているからこそ、こんなにもこの14巻は辛かったのです。

 

 その意味で、シリーズものであることがラノベの利点であるという考えで、この『りゅうおうのおしごと!』は最高のライトノベルだと思います。

 もちろん、激しい展開はなく世界観を味わう作品もあります。それも好きです。しかし、起承転結で言えば激しい展開の転や結が一番分かりやすく面白いでしょう?

 誇張していえば、14巻は結結転転なんですよ。ずーっと良いとこどりなんです。だからこんなにも濃い。だからこんなにも飽きずに一冊を読ませる力がある。

 言葉にすると変な感じがするけれど濃いからこそ読みやすいのではないかと思います。そして、それが成り立つのは、これまでの最高の13冊があるからでしょう。

 

  序盤に泣かされかけて、だからラノベが良いんだよなと思わされた一冊でした。

 

 と、ここまでで今回書きたかったこと、読んでもらう価値があるのではと思ったことは書ききったので、なんならブラウザバックしてもらってももう満足まであります。

 

 

 こわい

  「こわい」か……と思いました。「こわい」にあらゆる感情がこもっていると感じて震えました。

 そして、『☗本気になったから』全体のテンポ、文章のスピード感が大好きです。この繰り返しの表現が大好物なんですよ。この記事のここまでにも、このラノの200字コメントにもそれが表れていると思うんですが……。

 

 また、このシーンを読んで改めて熟視していなかった表紙を見てみると、この力強く哀しく逞しく悲壮な、まだ言葉では表したりないあいの表情が恐ろしく良くて、胸がいっぱいになってしまいます。

 

 このシーンの挿絵もまた新しいことをしてきたな、と思いつつも分割挿絵と比べるとな……なんて思ってしまいましたが、同じアングルの2度目を見せられるとやはりエモかったです。

 

 

○○○○○の手番

  空銀子の攻めが切れ、供御飯万智の手番ターンが来たという締めでしたね。さらに言えば、雛鶴あいも攻めを切らし、夜叉神天衣の手番ターンも来たといったところでしょう。

 

 常々、銀子ちゃん一筋ってそれ本当?という感じの八一ですが、このエピローグはもう完全に落とされてません? どう思います?

 これまで八一の近くにいた2人が去っての傷心のこのタイミングでの行動というのが、あまりにもジャストタイミングで狡猾ですよね。貶す意味ではなく(むしろ一番好きなヒロインが空銀子か夜叉神天衣かといったところ)いい意味で狡猾です。

 

 このシーンでの振る舞い、セリフが魔性のそれで、これもまた大好物なので15巻が待ち遠しいです。

 

 

 

 といったところで、長く書いて間延びしてしまうのも良くないなと振り返ったのでここらで区切りとします。

 

 それではまた。